LOH症候群

最近、女性のみならず、男性にも更年期障害があることがわかってきました。更年期障害のなかで、男性ホルモン(テストステロン)の低下によっておこる症状を総称してLOH(ロー)症候群と呼んでいます。当院では、LOH症候群の診断・治療を積極的に行っています。お困りの方は、一度受診されることをおすすめします。

男性ホルモンの検査は、午前中に行う必要があります。
男性更年期障害(LOH症候群)の診断を希望される場合は、午前11時までには受診して下さい。

LOH症候群の症状

どんな症状がありますか?

テストステロンには、体内で様々なはたらきがあります。思春期の第二次性徴の発現に必須であり、性行動(性欲・勃起・射精に関すること)を促し、精子をつくる手助けをします。また、筋肉を増やし、骨を丈夫にします。集中力や認知力などの脳の機能にも影響があるとされます。このため、テストステロンが少なくなると、様々な症状がみられます。

主な症状
精神・心理症状 抑うつ(気分がめいるなど)、いらだち、不安、不眠、無気力(やる気がしないなど)、精神的疲労感
身体症状 体調不良、腰・背部痛、関節痛、筋力低下、発汗・ほてり、睡眠障害、ひげの伸びが遅い、肉体的疲労感
性機能症状 性欲低下、勃起障害(ED)、射精障害、オーガズム障害
検査所見 骨密度の低下、体脂肪率の増加

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LOH症候群の要因

LOH症候群はなぜ起こるのでしょうか?

年齢

テストステロンは、年齢とともに少なくなります。これは、精巣(睾丸)でテストステロンを分泌する細胞が減少することや、テストステロン分泌を促すホルモンの分泌量が減少することによるとされます。この根本的な原因はわかっていません。ただ、単にテストステロンが少なくなるだけではなく、ストレスなどもLOH症候群の発症に関係があるとされています。

薬剤

また、他の薬剤(精神科領域の薬・胃薬など)が原因でテストステロンを下げるホルモンが増え、結果としてテストステロンが下がることもあります。 この場合、薬剤の変更・中止により改善が見られます。

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LOH症候群の診断

LOH症候群の診断結果
27~36点 軽度
37~49点 中等度
50点以上 重度

LOH症候群の診断はどのように行われますか?

問診による診断

LOH症候群は、症状のみでは、他疾患、特にうつ病と鑑別することは困難です。症状があてはまる=LOH症候群ではありません。

実際の診断では、まず、症状を把握するために、問診票を用いています。最も広く用いられているものはAMS(aging males symptoms)スコアです。このスコアの合計点が27点以上であれば、症状からLOH症候群が疑われます。

血液検査による診断

次に、テストステロン(遊離型テストステロン)の測定(血液検査)を行います。遊離型テストステロンは、年齢とともに正常値が変化しますが、本邦では、この値が8.5pg/ml未満であれば、LOH症候群と診断され、後述のホルモン補充療法が推奨されています。

当院では、この他にうつ病や勃起機能に関する質問紙も併せて用いています。
また、甲状腺ホルモンや成長ホルモンの低下でも同様の症状が生じることがあるため、場合によっては検査をおすすめすることがあります。

なお、テストステロンは時間によって値が変わります。正確な診断のためには、午前中に検査を行う必要がありますので、検査を希望される方は午前11時ごろまでに受診してください。

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LOH症候群の治療

LOH症候群の治療はどのように行われますか?

症状をやわらげる治療と、テストステロンを増加させる治療があります。

症状に対する治療

症状をやわらげる治療には、EDに対するED治療薬、うつ症状に対する抗うつ薬、ほてりに対する漢方薬などがあります。

テストステロンを増加させる治療

テストステロンを増加させるために、直接テストステロンを注射する治療(テストステロン補充療法)を行います。一般的には2~4週間おきに筋肉注射を行います。ひとまず2~3回注射を行い、症状の改善があるかどうかをみます。改善するようであれば、しばらく継続します。改善しないようであれば、他の病気の可能性を考え、他の検査や他科の受診をおすすめします。このほか、内服(副作用である肝機能障害が非常に多い。)、軟膏(効果が不安定なことがあり、保険診療で認可されたものがない。)などの方法もありますが、あまり一般的ではないようです。

期間

治療期間は、状態をみながら、相談しながら決めます。3ヶ月ごとに治療効果を確認し、治療の継続・中止を含め、患者さんの意思確認を行います。

テストステロン補充療法による副作用
・多血症(赤血球が増える)
・肝機能の異常・脂質代謝異常
・前立腺肥大症・前立腺がん、乳がんの悪化
・睡眠時無呼吸症候群の悪化
・女性化乳房、ざ瘡(にきび)、皮膚(頬など)が赤くなる
・行動・気分の変化

治療を行うとき、どんなことに注意すべきですか?

テストステロン補充療法が行えないケース

前立腺がん・乳がんのある場合、これらのがんの疑いがある場合は、テストステロン補充療法を行うことができません。睡眠時無呼吸症候群や重症の前立腺肥大症など、治療を行うことが難しい場合もあります。治療が可能かどうか、よく検討しなくてはなりません。

テストステロン補充療法の副作用

テストステロン補充療法による副作用には、右記のようなものがあります。

副作用として最も頻度が高いのは、多血症・肝機能の異常などです。3~6ヶ月ごとに血液検査を行うことをお勧めしています。

子どもを作りたいと考えている場合

特に注意を要するのは、子どもをつくりたいと思っている患者さんです。テストステロン補充療法を行うと、次第に精巣(睾丸)が小さくなり、3~6ヶ月で精子の数が少なくなり、場合によっては無精子となります。このような場合、高度な不妊治療(対外受精・顕微授精など)が必要となる可能性があります。医療者側もこの点を理解していない場合があります。子どもをつくりたいと思っている患者さんは、テストステロン補充療法を行うべきではありません。

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LOH症候群の予防

LOH症候群は予防できるでしょうか?

予防法は確立されていない

予防法として確立されたものはありませんが、ストレスを貯めないようにすることは有用と思います。

最近、メタボリック症候群との関連が指摘され、肥満の改善や運動療法などのライフスタイルの修正により、症状の改善を認めたという報告がありました。メタボリック症候群を改善・予防することがLOH症候群の予防につながるかもしれません。

また、テストステロンは生殖・性機能に大きく関わっています。パートナーあってのことですから、パートナーとの関係を大切にすることも重要と思います。

様々な可能性を秘めている「テストステロン」

近年、テストステロンが低いと心臓の動脈(冠動脈)の狭窄が生じやすい、寿命が短いなど、テストステロンと他の病気との関連が報告されるようになってきました。また、アンチエイジング(抗加齢医学)の観点からも、非常に注目されています。すべてが、本当に正しいかどうか、検証には時間を要するとは思いますが、テストステロンは様々な可能性を秘めていることは間違いなさそうです。

なお、受診の際には、最近の健康診断の結果や、他院で行われた血液検査の結果があれば是非お持ちください。また、内服している薬も重要ですので、持参(あればおくすり手帳も)してください。

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