当院は主に男性の患者さんの診療を行っています。女性の場合、膣内などの診察はできませんので、産婦人科の受診をおすすめしています。
なお、以下の内容について、電話やメールでのお問い合わせには応じられませんので(実際に診察しなければ判断できません)、受診のうえご相談下さい。
性感染症 Q&A
- Q
- どのような症状・病気があるのでしょうか?
- A
-
代表的(頻度の高い)性感染症には、 次のようなものがあります。
病名 感染部位(男性) よくある症状(男性) 潜伏期間 注意事項 クラミジア 尿道 無症状が最も多い
軽度の排尿痛・少量の膿1週間~ 咽頭にも感染 淋病 尿道 排尿痛・多量の膿(黄色) 2日~14日 咽頭にも感染 ヘルペス
(Ⅰ型・Ⅱ型)皮膚 水ぶくれ→ただれ 2日~ 唇周囲にも感染
(Ⅰ型)マイコプラズマ 尿道 軽度の排尿痛・少量の膿 不明 治りにくい ウレアプラズマ 尿道 無症状が最も多い
軽度の排尿痛・少量の膿不明 不明なことが多い 梅毒 陰部~全身 初めは陰部のしこり
足の付け根のリンパ節の腫大
のちに全身に様々な症状3週間~ 最近増加している トリコモナス 尿道 無症状が最も多い
軽度の排尿痛・違和感不明 検査で検出困難 尖圭コンジローマ 性器
肛門カリフラワーのようなイボ 週~月単位 再発が多い
- Q
- 受診の際、気をつけることはありますか?
- A
-
泌尿器科の性感染症の診療では、検尿は必須です。尿を貯めて受診してください。
症状の経過をきちんと話していただくことです。
特に、感染した可能性のある性交渉からどれくらいの期間で発症したのか、ということは、疾患(病気)の種類を推測するのに、大変重要な情報です。
恥ずかしがったり、パートナーが同席していたりなどで、本当のことを話さない患者さんもいらっしゃいますが、それでは正確な診断を行うことが難しくなります。
- Q
- 自覚症状は全くないのですが、検査したほうがよいでしょうか?
- A
-
性感染症は自覚症状が全くない場合でも、潜伏期間中である可能性や、症状が出ない疾患の可能性もあります。
特に、クラミジアは症状がない感染者が最も多いと推測されています。
このため、自覚症状が無いことは、性感染症にかかっていないことの保証にはなりません。
また、梅毒も、症状あり→無症状→症状ありを繰り返すため、その時点で無症状であっても、否定はできません。
ただし、自覚症状がない場合に実施する意義のある検査は、クラミジア・淋病・梅毒・肝炎・HIV(AIDSの原因となるウイルス)などと限られています。
それ以外の性感染症は、症状があるときに行わないと検査の意義が乏しいことがほとんどです。
- Q
- 保険の範囲で検査できますか?
- A
-
多くの場合、保険診療で検査・治療を行うことができます。
しかし、健診目的やブライダルチェック、不妊治療前の感染症チェックなどでは、自費診療になることがあります。
自費診療の場合の性病の検査費用は以下のようになります。
この他、初診料3000円、再診料1500円が必要です。治療費や薬剤費は別途費用がかかります。検査名 費用(税込み) 検尿・尿沈渣 1,200円 クラミジア・淋菌遺伝子検査 4,700円 クラミジア遺伝子検査 3,800円 クラミジア抗体(IgG・IgA) 4,100円 淋菌遺伝子検査 3,800円 梅毒(TP抗体・RPR 定性) 2,500円 梅毒(TP抗体・RPR 定量) 2,900円 AIDS・HIV感染症(HIV抗原抗体検査) 3,200円 単純ヘルペス抗原 3,500円 B型肝炎(HBs抗原) 2,300円 C型肝炎(HCV抗体) 3,200円 マイコプラズマ・ウレアプラズマ遺伝子検査 8,200円 どの検査が必要か・どの検査が適するのかについては、実際にお話しをうかがい、診察しなければ判断できません。電話やメールでお問い合わせいただいても、お答えできませんので、ご了承ください。
- Q
- パートナーが性病を指摘されました
- A
-
原則として、パートナーが感染した性感染症を中心に検査をすすめていくことになります。このため、
- パートナーがどのような症状なのか
- どのような検査を受けたのか(血液検査なのか、他の検査なのか)
- どのような性病を指摘されたか
という情報は大変重要です。是非確認のうえ受診して下さい。
なお、パートナーがカンジダ膣炎を指摘され、男性側の受診がすすめられることがあります。
当院では、カンジダ膣炎が繰り返す場合を除き、男性側の検査・治療を行う必要はないと考えています。
男性でカンジダが問題になるのは、糖尿病・免疫力低下・高度の肥満・オムツの常用など限られた場合のみです。
- Q
- 咽頭(のど)の検査はできますか?
- A
-
クラミジアや淋病は、咽頭(のど)にも感染することがわかっており、当院では、咽頭感染の検査も行っています。
- Q
- 梅毒が増えているとききますが
- A
-
梅毒患者は全国的に増加しており、広島市においても急激に増加しています(2016年27人、2017年62人、2018年105人、2019年74人)。
当院は、広島市で多く梅毒の診療を行っている医療機関の一つです。
梅毒は感染してから2~4週間後に検査で判明するようになるとされます。
しかし、例外も多く、6週間以降の検査で初めて判明する場合もあります。
このため、症状から梅毒が強く疑われ、検査で異常がない場合、時間をおいてもう1回検査を行うことをおすすめします。
- Q
- ヘルペスが心配です
- A
-
ヘルペスに感染している場合、性交渉を介してパートナーに感染させる可能性はあります。
(対策なく性交渉を行った場合、1年間で20%程度パートナーに感染させるとされています。)
自覚症状がないときにヘルペス感染の有無を判断するのは困難です。
ヘルペスが発症して、水疱(水ぶくれ)ができているときに、その中の液体を採取して確認するのが最も確実です。
ヘルペスの検査として、血液(抗体)検査もありますが、この検査で陽性(感染あり)となっても、実際に治療が必要な状態なのは、そのなかの数%程度とされます。有用でない場合が多いため、特殊な場合を除き、血液検査は当院ではおすすめしていません。
- Q
- マイコプラズマ・ウレアプラズマとは?
- A
-
以前から、尿道炎を起こす性感染症として、クラミジアや淋菌の感染が知られていました。
しかし、尿道炎の症状があるにもかかわらず、クラミジアや淋菌が検出されない場合があり、非クラミジア非淋菌性尿道炎あるいは雑菌性尿道炎と呼ばれてきました。
最近になって、マイコプラズマやウレアプラズマといった微生物が、尿道炎の原因になることが明らかになりました。
不妊カップルでの検出率が高いことから、不妊の原因の可能性とも考えられています。
この疾患に対応できる施設は限られていますが、当院では、尿道のマイコプラズマ・ウレアプラズマの診断・治療が可能です。
検査費用(自費)は8200円(税込)です。